重梱包用バンドについて
重梱包用バンドについて
近年、樹脂製バンドの高性能化によって、帯鉄に匹敵する引張強度を持つ、樹脂製のバンドが出てきました。
環境面・安全面・作業性・コスト等の理由により、帯鉄から樹脂製バンドへの切り替えも行われております。
重梱包用のバンドは、現在、様々な種類の商品が販売されておりますが、こちらでは、帯鉄・ポリエステル(PET)製のエステルバンド・ポリプロピレン(PP)製のヘビーバンドの3種類について、それぞれの特徴について説明します。
※重梱包用PPバンドは多くのメーカーで、ヘビーバンドと呼ばれていますが、積水ではVバンドの名称で販売されています。
特性比較表
金属バンド | 樹脂バンド | 備考 | ||
帯鉄 | エステルバンド | ヘビーバンド | ||
強度 | ◎ | ◎ | 〇 | 樹脂バンドは性能向上により、帯鉄に匹敵する強度を持っています。 |
衝撃吸収力 | × | ◎ | ◎ | 樹脂バンドは、適度な伸びがありますので、落下の際などに衝撃を吸収し、破断し難いメリットがあります。 |
弾性回復力 | × | ◎ | 〇 | 樹脂バンドは、多少伸びても、元に戻ろうとする力が働きます。 |
引締持続性 | ◎ | 〇 | △ | 樹脂バンド(特にヘビーバンド)は時間の経過とともに、緩んでくる傾向があります。 |
フィット性 | × | 〇 | ◎ | 柔軟性のある樹脂バンドは、より密着して引き締めることが出来、商品に直接当てても、傷を付けません。 |
縦割れ | ◎ | 〇 | △ | 樹脂バンドは、裂けてしまう事があります。特にわずかな傷でも裂ける原因となりやすいです。 |
耐熱性(高温) | ◎ | 〇 | △ | ヘビーバンドは高温で軟化しやすく、十分な引き締めを保持出来ません。 |
耐熱性(低温) | ◎ | 〇 | △ | ヘビーバンドは素材であるポリプロピレン自体の低温特性が良くない為、低温下での使用に適しておりません。 |
耐候性 | 〇 | ◎ | △ | ヘビーバンドは紫外線に弱い為、屋外での長期保管には適しておりません。 |
耐蝕性 | × | ◎ | ◎ | 帯鉄は名前通り、素材が鉄であるため、錆が発生致します。 |
耐摩耗性 | ◎ | 〇 | 〇 | 素材が柔らかい樹脂バンドは、摩擦により削れやすいです。 |
安全性 | × | ◎ | ◎ | 樹脂バンドは、切り口でけがをする可能性が低く、安全性に優れております。 |
作業性 | × | 〇 | ◎ | 特に柔らかいヘビーバンドは、扱い易く、作業性に優れており、自動梱包機での使用が可能な商品もあります。 |
重量 | × | 〇 | ◎ | 帯鉄に比べ、エステルバンドは約1/6、ヘビーバンドは約1/10と非常に軽量です。 |
廃棄処理 | △ | 〇 | 〇 | 樹脂バンドは、プラゴミとして廃棄する事が可能です。 |
経済性 | × | 〇 | ◎ | 樹脂バンドは、帯鉄に比べ、安価で経済性に優れております。 |
破断伸度 | 約5% | 約15% | 約20% | 帯鉄に比べて樹脂バンドは伸びますが、それぞれメリットとデメリットがあります。 |
シール | 金具のみ | 熱溶着が可能 | 熱溶着が可能 | 樹脂バンドは、従来の金具止めの他に、バイブレーションによる熱融着が可能です。 |
伸びについて
この3種類のバンドの特性の中で、特に注目するべき点は”伸び”です。
帯鉄がほとんど伸びることが無いのに対し、樹脂製バンドの2種はある程度伸びます。
そして、”伸び”には、メリットとデメリットの両方が存在します。
左のグラフは、破断するまでの力を加えていった時の、それぞれのバンドの伸び具合です。
帯鉄は力を加えていっても、破断する最後まで、あまり伸びることはなく、しっかりと荷物を保持する事が出来ます。
エステルバンドは、帯鉄には劣りますが、途中までは力を加えていっても、あまり伸びることはありません。しかし、破断する少し手前から、急に伸びが発生します。
ヘビーバンドは、最初から力を加えると、それに対し伸びが発生します。
帯鉄は、ほとんど伸びることがなく強力に荷物を保持できるのがメリットですが、その代わり衝撃に弱く、瞬間的に大きな力が加わった際に、切れてしまう事があります。
それに対し、樹脂製バンドはある程度の伸びが衝撃を吸収してくれるという、メリットがあります。
特に、エステルバンドは引張強度の95%までは、あまり伸びないので、実用的に使用できます。
右のグラフは、初期引締力が時間と共に減衰していく過程を表したものです。
このように、初期の引締力を保持し続ける帯鉄に対し、樹脂製バンドは時間の経過により引締力が減衰していきます。
まとめ
帯鉄 | エステルバンド | ヘビーバンド | |
価格 | 3種の中で、一番高価です。 商品に直接触れると、傷を付ける恐れがありますので、角当て等の副資材が必要なケースもあります。 | 帯鉄に比べて安価で、商品に直接触れても、傷を付けませんので、副資材が必要ありません。 | 一番安価です。 商品に直接触れても傷を付けませんので、副資材が必要ありません。 |
伸びと破断 | ほとんど伸びることはなく、緩みにくい為、しっかりと引締めが可能です。 一旦緩んでしまうと、元には戻りません。 衝撃吸収力に劣り、いきなり切れてしまう事があります。 | 若干、伸びと緩みが発生します。 衝撃吸収性に優れており、多少伸びても元に戻ろうとする力が働きます。 傷がつくと、そこから切れやすくなります。 | 伸びやすく、緩みやすい為、バンドによる、安定した引締め力を期待した梱包には向きません。 衝撃吸収性には優れています。 傷がつくと、そこから切れやすくなります。 |
安全面と 扱い易さ | 切断面が鋭利で安全とは言えない。 また、重くて扱い難い。 | 樹脂製なので、比較的安全。 | 安全で、柔軟なので扱い易い。 軽量なのも大きなメリット。 |
保管 | 錆の問題で、場合によっては 長期保管には向かない。 | 10年以上の長期保管もOK。 屋外での保管も大丈夫です。 | 紫外線に弱い為、屋外での 長期保管には向かない。 |
結束 | 基本的に金具を使ってシールします。 帯鉄に切れ目を入れることにより、金具無しでシールする方法もあります。 | 金具を使ったシールの他に、ハンディ梱包機を使った熱溶着も可能です。 | 金具を使ったシールの他に、ハンディ梱包機を使った熱溶着も可能です。 |
切断 | 専用のはさみが必要。 | 通常のはさみで、何とか切れる。 | 通常のはさみでも切れる。 |
総合 | わずかな緩みも許されない梱包には、帯鉄をお勧めします。 安心感は一番優れていると言えます。 | コスト・商品の保持・使いやすさ・保管性・廃棄等、いずれの点でも優れており、欠点の少ない優秀な結束材です。 | コストや使いやすさの点では優れているのですが、引締めと保持の点では不安を感じます。 使い所を選ぶ、結束材です。 |
・その他注意点
パレットにバンドを掛けた所への、フォークの差込はどのバンドでも禁止ですが、特に樹脂タイプのバンドは厳禁です。
傷が付いてしまうと、そこから切れ易くなってしまいます。
また、バンドを地面に接触させて引きずるような行為も厳禁です。
-重要-
重梱包バンドが必要な梱包は、万一、作業中や運送中などに破断してしまった場合、重大事故につながる可能性が非常に高くなります。
無償にて評価用のサンプルを、提供させて頂きますので、十分なテストを実施の上、ご検討下さい。